新年のごあいさつ&2014をふりかえって
あけましておめでとうございます。
昨年は(も)頻繁に更新できず、たまに書いてみれば拙い内容になってしまいました。
これからも無理のないペースでぽちぽちと書いていきたいと思います。備忘録的な内容ではありますが、引き続きお付き合いいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。
うんうん唸りながら2014年を思い起こしていたら、うっかり年が明けてしまいました。というわけで年初めですが、2014を振り返って、備忘録的に記録しておきます(完全なる日記なので面白くないと思いますが。。><。
2012年は「インプット」、2013年は「アウトプット」中心の一年でしたが、2014年はとにかく「煩悶」の一語に尽きる。そんな一年でした。
振り返り作業とはつくづく、自分との戦いなのだな、と。折々のできごとにくっついてくるさまざまな感情にふたたび苦しめられたりして「もう振り返るのやだ・・・」と何度も思いました。が。よいことや成功体験ばかりではなくて、こういう負の感情を記録し、しっかり棚卸ししておくことも、あらたな一歩を踏み出すために必要なこと。今年の終わりに一年を振り返ったときに少しでも前進できていたらいいな、という願いも込めて。
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【1月】
波乱の一年の幕開けになろうことなどつゆ知らず、アクセサリー屋さんで3,000円で買った福袋が当たりだったーわーいわーいと喜んだり、遠出しておいしいホットケーキ食べたり美術館行ったりライブ見たりしながら過ごし、しまいにはまさかのインフル地獄。
某誌から震災がらみのテーマで原稿依頼をいただき、前年から進めていた機関リポジトリ構築の準備もいよいよ佳境に。
■東日本大震災アーカイブ国際シンポジウム「未来をつくる地域の記憶」(主催:国立国会図書館 / 東北大学災害科学国際研究所)参加
「参加型デジタル・アーカイブの現状と課題」あたりが気になり参加しました。
海外事例として、「2011年東日本大震災デジタルアーカイブ」(ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所)、「カンタベリー地震デジタルアーカイブ」(カンタベリー大学)の報告も。
収集資料の種類も様々、アーカイブの方法はデジタルorアナログ、単立or参加型などの形態問わず、自然災害を記録すること、広く公開することについての意義や目的など、根底にあるものは同じなはずで。「構築」の次のフェーズを迎え、収集データをどう後世につないでいくか、発信・利活用の方法と継続的なアーカイブの維持について改めて考えるきっかけとなりました。
【2月】
■第10回レファレンス協同データベース事業フォーラム参加、神戸・京都ラーニングコモンズ視察
原稿書きの合間に、レファ協事業フォーラムと神戸・京都の大学のラーニングコモンズの視察に。
ここでは図書館外設置、図書館内設置のラーニングコモンズについて、双方の運営体制や学生の学習活動の違いに着目して見学しました。結果、どちらのパターンでも設計時には想定できなかった使われ方があることに気づいたのが大きな収穫。自学に持ち帰りすぐに活かすことができました。そして担当の方々の、ラーコモにかける熱意にも刺激を受けました。勉強量もすごい。出来上がって終わりではなく、もっともっと学生が学びたくなる仕掛けを考えていきたい、完成形はあえて想定してない、という姿勢がとても印象的でした。
このときのメモに「いまもがいてる先にはこんなに楽しい仕事が待ってるんだなあ。辛くてもがんばろ。」とあって、ふおお、となっています。この気持ち、忘れかけていた・・・(ぇ
■図書館界最大の女子会@仙台 開催
東京の某H大&TG大図書館女子チームをみちのく酒飲み図書館女子たちがお出迎え、という構図。
総勢20名、最初の乾杯から当然のごとく全員日本酒というすばらしき女子会。たぶんここでパンケーキ食べたいとか言ったら消されるw
東京女子チーム率いるKねえさん作、愛情あふれるメンバー紹介プリントに衝撃を受けつつ、めいっぱい楽しませていただきました!(そして「たしなむていど」というすてきなことばがわたしの辞書に加わる
【3月】
震災がらみのお仕事のうち、外部関連、学内関連(出版物の刊行)の2つが終期を迎えました。前者は事務局のみなさまの地道に積み重ねられた仕事ぶりにひたすら感動していました。後者は教員+事務職員(部署横断)混成チームでの仕事。このパターンは初めての経験で、様々なひとたちの仕事の進めかたを間近で見ることができたのは貴重な経験でした。
■機関リポジトリテスト公開
この月はいよいよ念願だった機関リポジトリのテスト公開。システムはJAIRO Cloud。
同時に、担当者に頑張ってもらって図書館ホームページもすてきにリニューアル!
■某団体の企画WGに参加
とある小官な方からお話をいただき。ですがいまだに全然貢献できてません。。。
■IDE高等教育研究フォーラム「学習を育む環境をどう作るか」参加
学修支援に関する情報収集の一環として参加。
千葉大学アカデミック・リンク・センター長の竹内比呂也先生の「学修環境についての議論はまずミッションの再定義がベースにあって、ミッション実現のためにはどんな学修環境が必要かを考える必要がある」というお話に大きなヒントをいただきました。
ほかには、編集協力員をさせていただいている大学マネジメント研究会の会誌編集会議に参加し、初めての企画出しも経験しました。
この月はMO'SOME TONEBENDER、中村一義&町田昌弘の100sコンビのライブへ。
【4月】
震災がらみで依頼をいただいた原稿が某誌に掲載されました。
■機関リポジトリ正式公開
3月にテスト公開した機関リポジトリが正式公開へ。5年越しの夢が叶った瞬間でした(NIIさんありがとうございました・・・!
生まれたてのぴよぴよなリポジトリが、いよいよちいさな一歩を踏み出しました。
■ARABAKI ROCK FEST. 14
2年連続泊りがけで参戦。このためだけに生きてるといっても過言ではないです。
1日目はHEY-SMITH(一瞬だけ)→電気グルーヴ→ゲスの極み乙女。→YOUR SONG IS GOOD→真心ブラザーズ→スカパラ→レキシ
2日目は在日ファンク→スチャダラパー→ピーズ→曽我部恵一→KEMURI→ACIDMAN→LAUGHIN'NOSEでおなかいっぱい。ACIDMANの裏番組のMICHINOKUステージではマンウィズ大入り、オオキさんが伏し目がちに「みなさんはやくオオカミ見に行かないと…。」って言ってたのが地味にツボ。ベストアクトはぶっちぎりレキシ!
夜は宿でともだちと遅くまでお酒飲みながらひたすら音楽の話。楽しかった!
【5月】
■リポジトリ広報活動開始
先輩・後輩と手分けして先生方の会議にお邪魔して説明するなど、草の根活動を展開。全学部での説明会開催を目標に(9月に達成
説明会に出席された先生から、「内容を詰め込みすぎ。短時間で要点を伝えるには、エレベータートークを意識するといいよ」とありがたいアドバイスをいただきました。
■大学教育学会第36回大会@名古屋大学参加
念願の名古屋大学附属図書館ラーニングコモンズを見学が叶いました。うれしい!
自由発表は学生支援•学習支援、IR(Institutional Research)を中心に。発表のなかで「この研究に関する文献については本学リポジトリに掲載されているので参照ください」という発言をされた方がいらして、うちの先生方に学会でこう言ってもらえるくらいリポジトリの認知度を上げたいなあ、と思ったり。
そのほか、十和田市現代美術館の企画展「そらいろユートピア」や、阿武隈川沿いに咲き乱れる菜の花のじゅうたんを見に。ライブは真心ブラザーズ、KEMURI。
【6月】
本当に、しんどかった月。
尊敬する先輩の異動による衝撃。業務量が一気に増加しました。
同じころ起こった理不尽なできごとに、怒り絶望しながらも耐えるしかない日々。
いろんな方に話を聞いてもらって、支えられていることを心から実感しました。
管財寄りの、初めてな仕事もはじまり。他部署のかたにたくさん助けていただき、すこしずつ繋がりができていきました。
■某協議会の研修企画スタート
主査なのに、あたまも体もさっぱり動かずでこれまたメンバーに迷惑かけまくりました。。
この月は完全ひきこもりモード。
【7月】
頑張るしか選択肢はなかろ、と割り切ることで、低空飛行ながらも徐々に復活。
同じころ、とある方から某会への参画のお誘いをいただきました。
この経験は間違いなく現状のブレイクスルーになる。実力が伴わない仕事への挑戦は必ず自分の糧になるはず、しかしそんな自分本位の考えで果たして貢献できるのだろうかと暫く悩んでいましたが、いろんな方が優しく背中を押してくださいました。
圧倒的に知識が足りないので、勉強勉強、の日々。
そのほかには遠出をしてうつくしい緑やかわいい柴犬に癒されてみたり、おいしいもの食べたり、スネオヘアー、レキシのライブへ行ったり。
【8月】
某WGキックオフ。錚々たるメンバーによる高度な議論に刺激を受けまくりながらも、自分の知識のなさにふたたび自信をなくしかけました。
■某協議会研修会
図書館のなかのひと向け、アクティブラーニングの理解を深めよう、な研修会。
某大学のFD/SDイベントの企画をされている部門のかたに全面協力をいただく。さすがの企画力、ファシリテーション力。タイトにもかかわらず、プロジェクト管理も含めてたくさんアドバイスをいただきました。
協力してくださったかた、メンバーには感謝してもしきれません。
【9月】
体調不良のなか、引っ越しを強行。
■某学会総会・研究集会のお手伝い
噛み噛み大王のくせにうっかり総会の司会を仰せつかってしまい、何度も練習して臨んだにもかかわらず、閉会式で「開会式をはじめます」とか言ったりしていました(本人まったく記憶にない
■SPARC Japanセミナー「大学におけるOAポリシー : 日本版OAポリシーのモデル構築に向けて」参加
大学におけるオープンアクセスポリシー(以下OA)の策定はリポジトリ構築期にある大学としても気になるところでした。個人的には、名古屋工業大学のOAポリシー策定後の研究者の変化について、OAに関して否定的なひとはほとんどおらず、むしろリポジトリ登録の手数や著作権がハードルになっているようだ、というお話が興味深かったです。
パネルディスカッションの話題は、本筋よりもOAジャーナル(ハイブリッドOA誌・完全OA誌)に対する大学や助成機関による助成の考え方や、出版社のOA誌と購読誌に対する考え方にシフトしていた感がありましたが、これも興味深かったです。
■私立大学図書館協会東地区部会研究部 研究分科会の成果
2012-2013年と勉強させていただいた内容をまとめた原稿が、会報142号に掲載されました。この原稿の作成に関して、わたしも別件の原稿を抱えていたので、分科会で苦楽(?)を共にしたid:shibureさんに相当なご負担をかけてしまいました。。。><。
■風とロック芋煮会BASEBALL参戦
空気がすこしひんやり、芋焼酎をロックからお湯割りに変えたときにふと、秋であることに気づき。なんということだ夏フェスぜんぜん行けてないし!
というわけで行ってみたら、後半はただひたすらバンドマンたちの野球の試合を見るというシュール展開。スネオヘアー投手が意外と野球うまいことにびびる。
このほか、中村一義、キリンジライブにも。キリンジ一気にひとが増えてて見慣れない感に満ち溢れていました。お兄ちゃんうたうまくなってた。
【10月】
引っ越しの荷物を片付けつつ、おうちカフェ化大作戦をはじめる。雑貨屋さんを回ってコーノ式ドリッパーや仔犬印ポットを入手し、本を読んでおいしいコーヒーの淹れかたを徹底研究したり。結果あまりにおうちの居心地がよくなりすぎて、ひきこもり傾向がさらに強くなりました。
■オープンアクセスウィーク2014参加
リポジトリ立ち上げてはじめてのオープンアクセスウィーク。スタッフさんのすてきセンスが花開き、おもわず笑顔が零れるようなすてきディスプレイをたくさん作ってくださいました!
うちもやっとここまで来れたんだなあと、じんわり。
■オープンアクセスサミット2014参加
一日目、「「オープン世代」のScience」。「オープン世代」の研究者たちが研究活動をオープンにすることで、研究自体を楽しんでるようすは、聞いてるだけでわくわくします。研究は大学の外側にあって、もっと楽しくカジュアルなものでよいのだなと。
こうした新たな研究のオープン化に触れることは、図書館におけるOAの在り方について改めて考える貴重な機会となりました。OAを最も実現しやすい枠組みとしてのリポジトリは、こうしたオープン世代の研究活動の変化に合わせ、「多角的な研究活動やプロセスも含む、研究成果の総合発信ツール」へと変化する必要があると思いました(データリポジトリにも繋がる
二日目は盛りだくさんすぎて、1エントリ使ってしまいそうないきおい・・
お話を伺って、自学の登録コンテンツにDOIを付与したい、というちいさな夢ができました。
そして(気づかないふりしてたけど)自分の関心はメイン業務である学修支援とかラーニングコモンズではなくて、どちらかというと研究支援、研究成果発信の方向にシフトしているのだなあ、ということを思い知らされた日でもありました。
■「大学マネジメント」10月号 「特集:MOOCsの検証」
3月の編集会議に出した企画が通り、10月号にMOOC特集として掲載していただきました。テーマや執筆者について、事務局のみなさまがとてもよいかたちにアレンジしてくださって、企画段階のものよりずっとブラッシュアップされた内容に。北海道大学の重田先生にご執筆いただけてよかった!
【目次】http://media.toriaez.jp/s0510/007759898650.pdf
ライブはくるりのみ。サンフジンズ登場にびっくり。民生!
3時間近く演奏して、しかもお土産にCDもらっちゃった。なんとお得なライブw
【11月】
■図書館総合展
某フォーラムのお手伝いをしつつ、別フォーラムで登壇しました。
出来は…。おそらくこういう場所で自学の取組を紹介する機会はもうないと思うし、たくさん伝えたいことがあったのにうまく言葉にできなかったことが悔しく。
でも、思いが伝わったと言ってくださるかたがいらっしゃって、救われました。
参加めもはこちら。
そのほか、総合展で感じたこと。総合展はモチベーションをあげるきっかけになっていたし、そこで聞く先進的な取組は多少レベルを落としてでも自学に落とし込めるはず、という希望を持って受け止めることができたのに、今年はそこで話されていることが、果てしなく遠い遠い場所での議論のように思えてしまって。自学に落とし込むイメージがなかなか持てない。こういう思いを抱いたのは初めてでした。(講師のかたがたや企画がどう、ということでは決してなくて、現実を知りすぎてしまって、理想とのギャップを埋めきれない自分の問題かと
#上記の感想は、参加レポを書いたフォーラムに関してのものではありません。
■郡山女子大学ラーニングコモンズ研修会(FD研修会)参加
学外者でも(しかも当日申し込み)快く受け入れてくださったことに感謝です。
同志社大学岡部先生より、「同志社大学良心館ラーニング・コモンズの目的と実際の運用」と題したお話。アクティブラーニングの手法(ジグソー法、シンク・ペア・シェアなど)をご紹介いただき、後述するgaccoインタラクティブ・ティーチングの学びにも大きく役立ちました。しかし同志社の利用者データ分析力とIRの連携はすごい、と改めて。
この月から、gaccoインタラクティブ・ティーチングの受講開始。栗田先生のファンになりました。
ライブはTM NETWORK。中学時代以来のできごと。
【12月】
11-12月は沈みっぱなしな日々。
理想と現実の乖離に苦しむなら、もう情報に触れたくない、見たくない、と外部を遮断したりしていました。
そんなとき、先生とじっくりお話する機会があって、研究の楽しさを教えてもらったり、「一緒にもっと面白いことをするためには」図書館はどうかかわっていけるか、など、新たなヒントをたくさんいただきました。インプットしてきたことのベースがあったからこそ、先生との「共通言語」を(すこしだけ)持つことができたのかな、と感じました。
これをきっかけに、仕事に関わる情報収集は再開しましたが、未だリハビリ中。
■千葉大学アカデミック・リンク・シンポジウム「つながる学び:アカデミック・リンクのこれまでとこれから」参加
とにかく豪華で盛りだくさんな内容。これについては別途まとめ中なので、完成次第ブログにアップします。
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2014年は前年ほど外部発表の機会が多かったわけではありませんでしたが、外部のお仕事に誘っていただいたり、「外の世界に触れる」機会は2013年並みに多かった気がします。
アウトプットに必死だった2013年には生まれることのなかった感情 ーー足元を見てばかりだった視線をふと上げたときに見えた「現実」と、インプットによって得られた「理想」との乖離ーー に苦しんだり、自分が本気で腰を据えて取り組みたいと思っている仕事の優先順位を下げ、他の仕事に(持てる力のほぼ全てを)注力せざるを得ない、という状況に苦しんだ一年でもありました(このことはどうしても納得いかなくて、一年間引きずった
そんなときにきらきら輝いてるひとや先進事例を見ては、悲しくなったり妬みのような怒りのような複雑な感情がぶわーっと沸いてきたり、自分の能力のなさに絶望したり(自分の手で現実を変えることができない、のも含めて)。これまでぼんやり生きてきたせいか気づくことのなかった、こころの奥底に潜むまっくろな感情の表出に戸惑うこともたくさんありました。はじめての感情をどう処理してよいか、どう乗り越えていけばよいか分からなくて、ひたすら出口のないトンネルをさまよっていたように思います。
簡単に弱音を吐いたり怒りをぶつけてしまう、未熟で素直じゃないわたしを優しく見守ってくださった方々、新しいステージを与えてくださった方々に支えられて、一年なんとか走り抜くことができました。
感謝してもしきれません。こころから、ありがとうございました。
今年の目標は、迷走してもいいから、後退しないこと。
以前、尊敬する先輩がくださった「悩むのは自分が少し上の、新しいステージへ行こうとするとき。自分の能力(と自分で勝手に枠をはめている)を超えようと試みなければ、そんな思いはしないはず」という言葉を胸に進んでいきたいと思います。
そしてもうひとつ。震災がらみの仕事について、検証して文章にまとめること。
一年のはじまり、みなさまにとってすてきできらきら楽しい日々が訪れますように。
今年もどうぞよろしくお願いします。
第16回図書館総合展参加めも フォーラム編 アクティブ・ラーニング最前線「新しい学修環境を構築する:アクティブ・ラーニング、オープン化、そしてコンテンツ」
前回の雑感編につづき。
今年の図書館総合展は11/5(水)-7(金)の3日間参加しました(3日間も行ったのはじめてだー)
某フォーラムのお手伝いをしたり、もろもろわたわたしていて、3日間いたわりにフォーラムもブースも例年に比べ殆ど回ることができず。
そんななか参加したいくつかのフォーラムについて、備忘録的に記録しておきたいと思います。
まずは11/5のこちらのフォーラムから。
■アクティブ・ラーニング最前線「新しい学修環境を構築する:アクティブ・ラーニング、オープン化、そしてコンテンツ」
■ショートプレゼン
株式会社イトーキ、株式会社内田洋行、金剛株式会社、株式会社岡村製作所、コクヨファニチャー株式会社、三進金属工業株式会社の各社から、アクティブラーニング・ラーニングコモンズ関連の商品や導入事例、出展ブース紹介などのショートプレゼン。
なかでも特に印象に残ったのは、コクヨファニチャーさんでした。
全国の大学を対象に実施した独自アンケート調査の結果をもとにしたプレゼンは、短時間ながらも聞きごたえがありました(時間の関係で割愛されたのだと思いますが、アンケート対象校のサンプル数やプロフィールを簡単でもよいのでご紹介いただければなお嬉しかったかも・・)
「ラーニングコモンズが図書館内に設置されるケース」は61%、この数が多いと感じるか少ないと取るかは人それぞれかと思いますが。私はむしろ残りの39%という数字を見て、図書館外に設置されるラーニングコモンズがずいぶん増えてるんだなあと感じました。
確かに、同志社大学ラーニングコモンズ、関西学院大学アカデミックコモンズ、大正大学ラーニングコモンズ、創価大学ラーニングコモンズSPACe、関西大学コラボレーションコモンズなどなど、ぱっと思い浮かぶ他大学のラーニングコモンズは図書館外設置のケースが多いなあと。
図書館と親和性が高いというイメージは変わらず存在しているとはいえ、徐々に「図書館の空間」から「全学共通の学修空間」にシフトしつつあるのかな、と感じました。
図書館外設置型の場合、図書館との関係性が気になるところですが。それぞれの機能分化をどうするかよりも、このふたつの学修空間を「資料」をキーに繋いでいくことを考えたいなあ、などとぼんやりと考えていました。
スライドの最後に登場した「脳に汗をかけ!」というコピーも、個人的にはキャッチーですきです。
■「新しい学修環境を構築する アクティブ・ラーニング, オープン化, そしてコンテンツ」竹内比呂也先生(千葉大学副学長/附属図書館長/アカデミック・リンク・センター長)
各社のショートプレゼンののち、竹内比呂也先生の講演と続きます。
竹内先生といえば、千葉大学アカデミック・リンク・センター。
※2012年8月のエントリで、アカデミック・リンク・センターの見学レポートを書いています。アカデミック・リンク・センターのコンセプトについてはこちらをどうぞ。
「学生の“が”をカタチにした 図書館の可能性を検証する」(高等教育問題研究会(FMICS)7月例会 参加記録) - 日々のきろく
アクティブラーニングを理解し、そこからラーニングコモンズの構成要素、「空間」「人的サポート」「コンテンツ」を考えるという構成でした。
ここでは特に印象に残った「アクティブラーニング」「学習空間」のお話を中心に。
*聴き取ることができた範囲で、私なりの解釈で書いています。
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きれいな机と椅子を整備した。
学生には静寂にしなくてもいいと言った。
さあ、アクティブ・ラーニングの環境はできた!
という言葉が印象的なスライドをバックに
「一般的にアクティブラーニングってディスカッションが主体と考えられているけど、それって違うのでは・・?」
という竹内先生の問いかけから、お話が始まりました。
■そもそも、アクティブラーニングとは?
教員と学生が意思疎通を図りつつ、切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見出していく能動的な学習
(「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)」中央教育審議会(2012年8月) 「4.求められる学士課程教育の質的転換」より)
・文科省や中教審の答申でもアクティブラーニングは大学教育の重要なキーワードに
■日本の大学が抱えている「学び」の問題
・空間がアクティブラーニングのような新しい学びのスタイルに適合していない
・多くの大学における学びの空間⇒階段教室、机も椅子も固定。
・学修支援スタッフの不足
■アクティブラーニングスペース(含むラーニングコモンズ)を考える上で大切なこと
・平成25年度学術情報基盤実態調査によれば、306の大学において既にアクティブラーニングスペースを設置済 *1
・学生の主体的な学びを実現するための図書館の強化が確実に進んでいる
・図書館だけが頑張って大学内で局地的に学びの環境を作っても、本質は変わらない
大学全体の学びのスタイルそのものを変えていかないと
・ラーニングコモンズを設置することは、高等教育全般が求められている改革の一手段
・思考の転換が必要、ラーニングコモンズを作ることが単なる目的になると
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☆図書館のなかのひと
⇒図書館でやらなきゃいけない、大変だ・・・
☆他部署のひと
⇒ラーニングコモンズは重要だけど、学修環境の整備は図書館がやるべきことでしょう。
自分たちはよくわからん
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ということに・・・
■学修環境を変えていくためには?
・学習の主体を誰に置く?
・大学における教育のスタイルそのものをどのように変えていく?
このことを、図書館で完結せず大学全体で議論しないといけない
■アカデミック・リンクが評価されている理由
図書館だけが頑張ったのではなく、大学の経営層がアカデミック・リンクのコンセプトの重要性を理解し、教育改革のなかで強力に推し進めたことが大きい
■アクティブラーニングの本質を発揮できる学修環境を作る鍵は?
・学修環境の整備・学修支援が自学にとっていかに有益で不可欠なことであるか、大学経営層のトップに説明できるか、説得できるか
・図書館関係者以外の参加者へ向けて⇒「図書館にまかせる」という考えを転換してほしい
■アクティブラーニングの理解
・アクティブラーニングを学習者の視点で考えるか?教育者の視点で考えるか?
・アクティブラーニングにおいて重要なのは課題解決能力・課題探求能力
これらを養うために効果的な手法ではある
・アクティブラーニングの主体⇒プレゼンテーション・ディスカッション?
しかし「自ら資料や文献を探し、授業の事前・事後の学習を行う」こともまた、アクティブラーニングのひとつ
・アクティブラーニング=グループディスカッションではない
「自ら文献を探し、授業の準備をする」というプロセスは、基本的にひとり
■ラーニングコモンズと「個人の学び」
・アクティブラーニングを促す場であると同時に、個人にもフォーカスする必要がある
⇒University of Northern Iowa, Rod Libraryが出したラーニングコモンズに関するミッション・ステートメント:「協同あるいは個人のアクティブラーニングを促す」
・日本におけるラーニングコモンズやアクティブラーニングの議論には「個人」という視点が入ってない
・サイレント・アクティブのバランスが重要
・ 能動的学修やラーニングコモンズの重要性について、大学図書館では5-6年前から議論されているが、ここにも「個人」は出てこない。 *2
⇒図書館員が議論したから?(図書館員にとって「個人で学ぶ」場は当たり前に存在。+ラーニングコモンズという集団の場が必要である、という考え方)
・「個人の学び」を含むアクティブラーニングの場は、日本で多く議論されてきたラーニングコモンズとはすこしちがう…?
■アカデミック・リンク・センターにおける「個人の学び」
・ひとりで学ぶ学生は非常に多く、窓際のおひとりさま席も人気
・(竹内先生から問いかけ)みなさんわたしの話を集中して聞いていますが、後ろのほうでざわざわしてるのを苦痛に思いますか?(⇒気にならないという人多数(わたしもぜんぜん気にならなかった))
学生も同様。窓際のおひとりさま席も、背後は賑やかなグループ学習スペースになっている。学生は好んでこういう席を選ぶ
・千葉大では静寂な学習空間を新たに整備した。(L棟リニューアルオープン)
*L棟コンセプト:「黙考する図書館」
ここで学ぶ学生がとても多い
・学生に「図書館での学習に最も好ましい場所」について質問⇒わいわいゾーン・静寂ゾーンほぼ半々
・わいわいゾーンを好む学生も、つねにグループで学習しているわけではない。ひとりで勉強したいけど会話可能なエリアにいたい、という学生も
■学修空間に求められる「多様性」
・「静かな図書館」に新たな機能を加え、変わっていくことも必要、だが
・学習空間を提供し、学習スタイルや教育の環境を変えるのは図書館だけではない
・魅力的な学習環境を構築し成功している図書館やラーニングコモンズには、多様な学修スタイルに対応できる空間があるのではないか
・きれいな椅子や机を並べ、学生に声を出してもよいと言った、それがなぜ×だったのか?
・「ディスカッション」は学習の一部分にすぎない
・切り取られた「学びのプロセス」ではなく、その全体を新しい学修環境がサポートする、という発想が必要
■「空間は知的刺激にあふれていなければならない」
・アカデミック・リンク・センターのプレゼンテーションスペースにおける独自プログラム「1210あかりんアワー」
・年間60数回、数十名のオーディエンスが集まる。これを学習空間のなかに仕掛ける
・書架も通常の図書館とは異なる工夫を(ブックツリー)⇒空間は知的刺激にあふれていなければならないから
・新しい学習空間で重要な要素は「コンテンツ・学習空間・人的支援」
⇒「空間がどのように利用者に認識されているか」ということも重要。
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このほか、
・オープンエデュケーション、オープンアクセス、オープンデータなどの「学びやその成果のオープン化」は多様な学修を支える基盤をもたらすものとなる
・従来の図書館が「学外で生産されたコンテンツの収集」が中心であったのに対して、これからは教材などの学内生産物を含め、授業に必要な教科書や参考資料などの電子化(著作権許諾手続含む)を行うことで「学内外のコンテンツを創り出す」機能も重要になる
といったお話も。
■感想
図書館総合展は大学図書館だけではなく、公共・専門・学校図書館のかたや図書館関連企業、一般のかたなど、参加者の背景が多岐に亘ります。竹内先生はそのことを考慮されて、皆に分かりやすく伝わるよう気を配りながらお話されている様子が伝わってきました。
アクティブラーニングやラーニングコモンズとはどんなものか、これらがなぜ「いま」高等教育において盛んに取り上げられているのか。これらの言葉に日常的に触れている大学図書館員でも分かったつもりになっていて意外と本質を理解していなかったりするのでは・・と思っていたので、平易な言葉で整理されたお話から、自分の認識を再確認することもできました。とてもありがたかったです。
一連のお話のなかで特に印象に残ったのは、「個人の学び」もアクティブラーニングのひとつである、ということ。アクティブラーニングは文字通りディスカッションやプレゼンテーションなどのアクティブな学習行動というイメージを、私を含め多くの大学関係者が抱くのではないかと思いますが、確かに「自分で調べる」ことも、能動的な学びの行動のひとつなのですよね。
以前とある先生とお話していたときに聞いた「議論のベースとなる知識を得るための座学も、大きな意味でアクティブラーニングであると思う。アウトプットだけでは本当の学びは得られないんだよ」という言葉を、ふと思い出しました。
「集団」と「個」の学び。多様な学修形態にフィットする空間。このあたりのお話をお聞きしていてふと頭に浮かんだのが、以前見学させていただいた明治大学和泉図書館でした。
様々な利用者の個性に寄り添う場所づくり。ラーニングコモンズに限らず、大学内のあらゆる場(教室・ラウンジ・カフェetc・・・)にも当てはまる話であり、キャンパス全体の施設整備においても重要な指摘であると感じました。
*明治大学和泉図書館の見学レポートはこちら
明治大学和泉図書館見学レポート(前編)
明治大学和泉図書館見学レポート(中編)
明治大学和泉図書館見学レポート(後編)
また、最後のほうで言及されていた、自学の建学の精神や教育方針に合った、「大学のミッション」を果たすための学修環境の構築の重要性も、忘れてはならないことだと思います。
他大学の取組をそのまま取り入れるのではなく、自学ならではの要素(学生の学習傾向や学部構成、カリキュラム、育成しようとする人材像etc…)を踏まえた「学びのデザイン」を考えること。アクティブラーニングはデザインされた学びの成果をかたちにするための一つの手段であり。ラーニングコモンズを単なるにぎやかなグループ学習室に終わらせず、「学びのデザインを実現する場」とするために、図書館の視点に留まらず、大学全体の教育を見る意識を持ち、自分の頭で考えること。
まさにここが、今回のお話の肝であると感じました。
そして、講演の最後に提示されたこのスライドのことばに、ぐっときました。
きれいな机といすを整備した
学生には静寂にしなくてもいいといった
我々はアクティブラーニングのスタートラインに立った!
そのほかのフォーラムについても纏めたかったのですが、長くなったのでこのへんで・・
第16回図書館総合展参加めも 雑感編
目標は月イチで更新、とか言っておきながら・・(すみません。。
第16回 図書館総合展に行ってきました。
図書館総合展とは・・
公共・大学・機関・企業・大学・学校等すべての館種の図書館についての、最新技術・サービス・トレンド・学術情報を紹介する、図書館界最大の展示会”(第16回図書館総合展ホームページより)
今年の入場者数は11月5日(水)~7日(金) の3日間で、31,632名とのこと。
第16回図書館総合展、閉幕の御礼 | 第16回 図書館総合展
この規模。ほんとすごい。
他部門から図書館に異動してきて初めて行った図書館総合展の衝撃は、今でも忘れられません。
それまで「組織のなかの一部門を冠にして行われる総合イベント」というものに出会ったことがなかったので。
#大学を含む学校業界全体で見れば、図書館総合展にちかいのは教育ITソリューションEXPOあたり?
EDIX(エディックス)はこのような展示会です - 教育ITソリューションEXPO
図書館総合展に行くたびに思うのは、図書館業界って本当に学べることがら / 学ぶひとが多いのだな、ということ。学術情報流通・学修支援・研究支援・電子書籍・情報リテラシー教育・デジタルアーカイブetc・・なかで働くひとにとって、こんなに学びの種がたくさんある場所って、大学のなかを見ても図書館くらいなのではないかなと。
図書館情報学という学問領域が存在するのも納得できる。図書館は奥が深く、その先には果てしない広がりがあるように感じます。
学ぼうとする意識さえあれば、いくらでも学ぶこと、実現できることはあって。けれど、学ばずともそれはそれでやり過ごせてしまう、のもまた図書館なのかなあ。このあたりは図書館の仕事も同じで、やろうと思えばできることはたくさんあるのに、見えないふりをすればやり過ごせてしまうことも多く。
やっぱり図書館って不思議なところだ、とあらためて。
できないことだらけで煮詰まっている日々を送っていても、ここに来ると、できないことと同じだけできることもあると気づかされ、視点を変えるヒントをもらえます。
それと同時に、
これだけの学びの種から得られたたくさんのことがらを、実務で次々とかたちにしていこう!と思える経験って、もしかしたら図書館にいるうちしかできないのではないか。という一抹の寂しさや、学びの環境に恵まれてすぎていて、図書館の仕事から離れたときに果たして自らのモチベーションをどこまで維持できるのだろうという不安、目の前でなされている高度な議論を自分のいる場所に向けて落とし込むことができないもどかしさを感じることも。
一見ネガティブな感情も、職場に籠っているだけではおそらく感じることもなかったであろう、この場でしか得られない大切な気づきなのだと思います。
以上、雑感編でした。
実際に参加したフォーラムのメモは、次のエントリで。
スライド作成のための参考図書・サイト
あっという間にお正月休みも終わってしまいました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
「見聞きしてきたことをブログに書いてみんなで共有すればいいじゃない」というおすすめをいただいて、書き始めたのが2012年7月。さっぱり更新できていませんが、今年は「月1本は書く」を目標に・・。
昨年は発表の機会が多かった、と前回のエントリに書きましたが、もともと思考を論理的に整理して表現することが最も苦手であるため、プレゼン以上にスライド作成には本当に苦労しました。
そこで今回は頭の整理もかねて、スライドを作る際に参考にした図書やサイトをご紹介したいと思います。
なお、資料も参考サイトも、いわゆるビジネス向けのものではなく、研究発表を前提としたものが中心です。そもそもは学会発表(実現せず)に向けて参照したのですが、研究発表メソッドは大学職員にとっても十分参考になるなあと感じました。
たとえば、大学職員の仕事につきものの事業提案プレゼンは・・
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1)課題の提示(提案の背景・目的)
2)提案概要
3)根拠(データ)に基づく提案の必要性についての証明・考察
4)事業計画の提示(事業コスト・スケジュール・評価方法など)
5)まとめ
※1)2)は入れ替わることもある?
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といった要素をスライドで提示しながら進めることが多いと思いますが、この流れの中に研究発表の「短い時間内でコンパクトに」論理的かつ情報を読み取りやすい形で伝えるという要素を組み込むことができるのではないかと思います。
大学という職場での発表(学内外問わず)は、オーディエンスが教員である場合も少なくありません。そう考えると、大学職員が教員と同様に、アカデミックな思考や手法を学ぶということは大事なのかもしれません。
1.図書
「わかりやすさ」「読みやすさ」の考え方と技術をベースに、論点整理から情報の取捨選択、スライドデザインまできれいに網羅されています。 特に「わかりやすい(情報を認識するのに要する時間が短い)デザイン」のための手法(コントラストの活用・情報のグルーピング・図式化)が参考になります。
これから学会発表する若者のために -ポスターと口頭のプレゼン技術-
- 作者: 酒井聡樹
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2008/11/21
- メディア: 単行本
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初めて学会で研究発表を行う大学院生・研究生をターゲットとしています。文章は明快かつ要点が整理されていて、とてもわかりやすい。
スライドデザインに関する記述は少な目ですが、巻末にIMRAD型のスライド・ポスター例があり、参考になります。スライドのドラフトを書くときに、このポスター例に要素を当てはめていって論点整理を行ったことも。
#余談ですが文中に登場する研究例が「ベガルタ仙台が強いのは牛タン定食を食べているからである」という仮説を証明するものだったり、ポスターデザインに青と黄色のベガルタカラーが用いられているあたり、東北大学の先生である酒井さんならでは。ベガルタ好きとしては親しみやすさを感じました。
2.サイト(スライドデザイン)
■伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン
東北大学・日本女子大学の研究者の方々により運営されているサイト。若手研究者向けに、学会発表のポスター・スライド作成の基礎について、「情報をデザインする」という視点のもと、わかりやすく解説されています。
特に書体の選び方、配色など、デザインテクニックの部分が充実。スライドやレジュメの実践例も示されています。
■スライドデザインのヒント | Garr Reynolds Official Site
『プレゼンテーションZen』の著者、ガー・レイノルズ氏のオフィシャルサイト。準備段階・スライドデザイン・講演の3つのカテゴリに分かれています。
話術が下手なので、資料を読み返してもわかりやすいように、と必要以上に情報を詰め込んでしまう癖があるので、スライドデザインのページに書かれている「スライドは話し手を補助するためにあるもので、話し手を不必要にするためではない」という言葉が身につまされました。。。
3.サイト(スライドテンプレート)
■Microsoft Office - Office.com
言わずと知れたMicrosoftのPowerPointテンプレ集。おしゃれなデザインも増えました。
(しかしクリップアート、写真はおしゃれなのが多いのにイラストのテイストは相変わらず・・
■44,064 Free PowerPoint Templates and Backgrounds(presentation magazine.com)
PowerPoint向けのフリーテンプレート集。スタイリッシュなデザインが多いです。
スライドだけではなく、館内掲示用のポスターにも応用できそう。
テンプレを参照する際は、Pinterestのほうが見やすいです(カテゴリごとに分けられてる)
4.PowerPointによるスライドデザインで「失敗しちゃったなあ・・」と思ったこと
■背景を濃い色・文字を明るい色に → 見づらい&印刷が大変・・・
発表に使うだけならスタイリッシュで素敵なのですが、スライドをそのまま配布資料にするときに見づらい&印刷する側の負担大(トナー消費しまくり)ということに後から気づき。。。当日の資料を準備してくださる方々のことも考慮すべきだったと反省。
■文字を濃いグレーっぽい色に → 印刷したらぜんぜん見えない・・・
■好きなフォントを使ったら → 発表時に正しく表示されない・・・
普段から、パワポのフォントは好んでメイリオを使っています(可愛くて見やすい)
しかしメイリオがインストールされてないPC環境で発表する場合、すべてゴシックに置き換わってしまうことを知らなかったため、発表時に使用&後日公開されたスライド、先方で用意してくださった配布資料の体裁が見事に崩れてしまったことが・・
■テキスト詰め込みすぎ、色使いすぎ → 見づらい・・・
緊張するとセリフ(?)が飛ぶタチなので、話したいことをとにかく資料に入れたところ、発表する自分自身でさえ「伝えたい」情報がすぐに見つけられなくなるという本末転倒な結果に。要約→図式化することが大事、と学びました(なかなか改善できてませんが)
色を多用すると、それを追って視線が激しく移動するため、必要な情報を素早く見つけられない→論点がぼやけまくる。目もチカチカ・・
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「わかりやすく、論理的に人に伝えること」は、発表やスライド作成に限らず、普段のコミュニケーションや各種資料の作成においても重要なこと。常に頭に入れておきたいと思います。
2013年を振り返って
図書館系情報のブログを書いていらっしゃる方々が今年の振り返りを始められていますね。
去年はさぼってしまいましたが、今年こそは一年をしっかり振り返って、備忘録的に記録しておきます(完全な日記なので面白くないと思います><。
2012年は「インプット」の年であったのに対し、2013年は「アウトプット」中心の一年でした。
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【1月】
■名取市図書館移転作業(仲介:saveMLAK)のお手伝い
震災で建物に甚大な被害を受け、取り壊すことになった名取市図書館の所蔵資料を「どんぐり・アンみんなの図書室」へ運搬する作業のお手伝いに行きました。この作業がきっかけで今もSNSで繋がらせていただいている方も。出会いに感謝です。
*「どんぐり・アンみんなの図書室」は2013年1月18日にオープンしています。
■第35回MULU茶話会:「カナダ海外研修報告と大学図書館への応用」(梅澤貴典さん:中央大学ビジネススクール事務室 *当時)
図書館がもっと活用されるために、経営的視点から大学における図書館の位置づけを変えていきたい!という気持ちがバッシバシ伝わってくる内容でした。
私の段取りが悪く急なお願いになってしまったにも関わらず、仙台までいらしていただいてたくさんのポジティブな刺激をくださった梅澤さん、当日お手伝いくださった方々にはただただ感謝です。
■地球三兄弟ライブ(地球三兄弟ツアー2013『ここほれ三兄弟』@東京エレクトロンホール宮城)
ここで一年分の櫻井充電満タンに(ほぼオンステージ状態)。男櫻井の歌う「イージュー☆ライダー」に涙したのもよい思い出。
#わおいま気がついたけどライブDVDが出ているよ!
そしてこの月はやたらセリ鍋を食べているw(家でも食べてる
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【2月】
■SDフォーラム in 仙台 「SDの実践的な取り組みに向けて」
このフォーラムの事例報告のなかの「組織的なSDでは自学の理念や方針を意識したプログラムを」「SDは目的ではなく手段である」という言葉が強く印象に残っています。SDプログラムの企画自体が有効なSDである、というのは経験上感じてはいましたが、この言葉で「研修を企画すること」「研修を受講すること」を目的とするだけではなく、その先にある成果を意識していかなくちゃいけない、ということを考えるようになりました。
この月は担当していた外国雑誌の年度末会計処理の変更で四苦八苦していたのと、震災がらみのお仕事、翌月のマネジメント研究会×MULUのイベント準備などなどが重なり合い、精神的に追い詰められていました。いい歳して自分の能力の低さと人間的な器の小ささに情けなくて腹が立って、悔しくて泣いてばかり。周囲のひとたちにもイライラをぶつけてしまい、とくに職場のひとたちとマネ研イベントの準備を一緒にやってくれていた@kanosukeさんには迷惑かけまくりでした・・・m(_ _)m
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【3月】
■大学マネジメント研究会×MULU企画 第2回「maneken共創考房in仙台」
千葉大学の竹内先生、中央大学梅澤さんをはじめとする豪華講師陣より、図書館の可能性の広がりを予感させる刺激的なお話をいただきました。
マネ研のイベントで図書館にスポットが当たったことにより、大学図書館の学習(学修)支援機能はもはや図書館のみならず大学教育の文脈の中で、そして大学経営においても注目され始めている、ということを実感しました。図書館に追い風がびゅうびゅう吹いている、この風に乗らないでどーする、とも。
このプログラムでは一緒に準備を進めた@kanosukeさんをはじめ、いろんな人に迷惑をかけ、協力をいただきつつ、マネジメントを体当たりで学んだ気がしています。
グループワークでは、前年の私立大学図書館協会東地区研究部研修会でACADEMIC RESOURCE GUIDEの岡本真さんに教えていただいた「ブレインライティング」とKJ法を組み合わせてみたところ、短時間でものすごい量のアイディアが生まれました。これは面白かった。
過去にマネ研イベントに参加した際に、グループワークのクォリティの高さに驚いた経験があったので、それがひそかにプレッシャーにもなっていました。遠くは大阪から参加される方もいらっしゃって、マネ研イベントに対する期待の高さも感じる。だからこそ、仙台まで来て単に「楽しかった!」で終わるのではなく、何か一つでも持って帰ってもらえるものを作りたい、と考えていました。達成できたかは未だに自信はありません。
当日の内容はこちら(togetter)
このイベントを終えた段階で自分のキャパやもろもろに限界を感じ、業務に集中するためMULUを卒業しました。その際はいろんな方に迷惑をかけまくってしまいました。
この月に、震災がらみの外部のお仕事がひとつ増えました。
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【4月】
相変わらず迷走。自分の関心分野は実は図書館なのではなくて、図書館
震災がらみのお仕事と、去年から継続中のもうひとつの外部のお仕事が同時に佳境に入り、学修支援環境を考えるお仕事、某誌編集協力委員のお仕事が増えました。
■真心ライブ(王道真心 ジャパン・ツアー2013@Rensa)
王道というだけあってベスト・オブ・真心なセトリ。最高に楽しかった!荒川土手みたいな古いうたを歌ってくれたのもめちゃくちゃうれしかった。
■ARABAKI ROCK FEST.13
正直このために生きているので、これが終わった段階で私の2013年は終わっています(笑)
今年は泊りがけで参戦。DAD MOM GOD・ZAZEN BOYS・大橋トリオ・くるり・サニーデイ・フラワーカンパニーズ トリビュートセッション・怒髪天・the band apart・堂島孝平×A.C.E.・yanokami+U-zhaan・ハナレグミ・七尾旅人・岡村靖幸・クロマニヨンズ ・曽我部恵一BANDでおなかいっぱい。
ZAZENの裏番組だったKEMURIを完全に見逃すという痛恨のミスを犯し、未だ後悔ちゅう。。
■矢野顕子ライブ(矢野顕子、忌野清志郎を歌うツアー@2013 仙台市青年文化センター シアターホール)
「海のものでも山のものでも」、映像のなかの清志郎さんとアッコちゃんが一緒に歌う「ひとつだけ」にただただ涙。
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【5月】
それまで準備していた震災がらみのお仕事を公開することになり、同時に外部のお仕事が佳境に入ってふたたび限界に。どうにも身動きが取れず、予定していた学会発表を他の方にお願いすることになりました。
震災資料の持つ思いがけない強い力に感情が揺さぶられ、気持ちが当時に巻き戻されてしまう苦しさのなかで、震災の記憶を記録すること、発信することについて、とことん向き合って考え抜いた一ケ月でした。
この月から、某団体の長期研修に参加。11月までもがき苦しむことに。
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【6月】
■大学教育学会第35回大会(統一テーマ:「教育から学習への転換」)
#内容はこちらのエントリにもすこし書きました。
「ラーニング・コモンズ」がテーマのラウンドテーブルでは、「図書館を変えるのではなく、図書館を通じ
■国立情報学研究所オープンアクセスサミット2013
今回は特に文科省・NDLの方の博士論文電子化対応、リポジトリとの関係についての話が注目されていました。機関リポジトリ未構築の大学も既にかなりの数JAIRO Cloudの利用申請を行っていると聞いて地味に焦ってしまいました。
■某研究会で大学職員の情報収集についての講座を担当
大学職員の情報リテラシー能力の獲得と、より質の高い業務を目指すために大学図書館がお手伝いできることを、図書館が持つ「業務に活かせるリソース」と共にご紹介、という触れ込みでしたが・・。結局独りよがりな内容になってしまったと反省。
■YO-KINGライブ(YO-KING LIFE WORK TOUR@せんだいメディアテーク スタジオシアター)
ライブハウスじゃないのが新鮮。アコギ1本でしっとりと歌い上げる素敵なライブでした。ずっと誰が歌ってるのか謎だったLIXILのCMソングの声の主がキングさんだったことがここで判明。すっきり。
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【7月】
■某団体長期研修の集合研修
この研修は個人ベースで自学が持つ課題を洗い出して分析し、調査研究を行い論文形式のレポートと課題解決のための提案書を作るというもの。集合研修では高等教育のカレントトピック、プロジェクトマネジメントやアンケート手法、特にプレゼン手法を徹底的に勉強し、役員へのプレゼンを想定した訓練を行いました。評価されることに慣れていない自分に気づいたのも大きな収穫。
■若手職員のための大学職員論(主催:東北大学高等教育開発推進センター 後援:学都仙台コンソーシアム)
採用からこれまでを振り返りキャリアを整理。採用当初に描いていたキャリアパスと現状の差にヘコんだりも。
20代の若手職員の方々とグループワークでは、キラキラと未来を語る若手のみなさんの姿に、ああ、30代になって少しずつ経験を重ねて、無意識のうちにブレーキをかけている気持ちもあるのかも知れないな、と気づかされました。
この月はほかにも
■お茶の水女子大学附属図書館 改正学位規則に関する研修会(大学院FD講演会)
■大正大学ラーニング・コモンズ見学
などでお江戸へゆく機会も多かったです。
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【8月】
諸事情により研究レポートのテーマを考え直さねばならなくなり、大スランプに陥りました。
出口が見えなくて悩んでいた時に、尊敬する先輩から「そういう気持ちって、自分が少し上の、新しいステージへ行こうとするときに感じるのでは。自分の能力(と自分で勝手に枠をはめている)を超えようと試みなければ、そんな思いはしないはず」という素敵な言葉をいただいて、復活。
気を取り直して、レポート作成のための情報収集を再開しました。
■大学情報活用フォーラム(主催:株式会社SRA東北)
研究レポートがらみでインタビューに答えてもらった他部署の先輩に勧められ参加。研究業績データベースや大学ポートレートのお勉強を。
この月も震災がらみで発表が1件あり、行きたかった大学図書館問題研究会全国大会、ワールドハピネスは泣く泣く断念。
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【9月】
■第4回EMIR勉強会(主催:山形大学エンロールメント・マネジメント部 共催:東北工業大学)
これまた研究レポートがらみで、IR(Institutional Research)、特に研究業績管理についてのお話を聴きたくて参加。SRA東北の方がデモを行いながら説明された「Excelを使ってできるIR分析」の話に、IR分析のためのシステムを売る人がそういう話をするかー、と驚く(そこか
■外部のお仕事での発表@八戸
発表準備にあたっては某会の当時のチームメンバーと一緒に6月から準備を進め、迷惑かけまくりました。
学修支援関連の調査を行ったのですが、様
■夏の魔物 - AOMORI ROCK FESTIVAL'13
フラワーカンパニーズのライブとクドカンのトークショー見るためだけに青森まで行くという暴挙に出ました。ついでに青森県立美術館で横尾忠則展を。アナーキー!
あとは新潟までこれを見に。
■山口晃展 -またまた澱エンナーレ 老若男女ご覧あれ-
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【10月】
■長期研修集合研修で人生初の九州上陸
引き続き研究レポートに苦しむ月に。中間報告があったので、そこまでレポートに没頭し、集合研修で人生初の福岡へ。id:shibureさんのご配慮により九州の図書館職員の皆様とよるカフェ&よるごはんをご一緒してid:otani0083さんとも3年ぶりの再会を果たし、楽しい時間を過ごさせていただきました。福岡はひとが優しく街並みもきれい、ご飯も美味しくて、とっても素敵なところでした。
集合研修の最後のプレゼンは最悪の出来で、完膚なきまでにぺしょんぺしょんに叩きのめされました。涙が出るほど情けなかったけど、いまのうちにここでたくさん恥をかいておくことは必要なことで、貴重な経験であったと思います。
■若手職員のための大学職員論(2)~先達からのメッセージ~(主催:東北大学高等教育開発推進センター 後援:学都仙台コンソーシアム)
実行委員として運営のお手伝いをしながら、東北大学法務課長の船田さんのお話に刺激を受けまくっていました。
■図書館総合展
NII喜連川優所長と語る学術情報流通の未来・国立国会図書館の電子情報サービスの現在 を拝聴。
この月は仙台に遊びにきてくださったid:kitoneさんにやっとこさご挨拶できました。SNSで長いことやりとりのある方はだいたいお目にかかれているのに、kitoneさんとは2年くらい(?)やりとりがあったにもかかわらず、びっくりするほどタイミングが合わずw
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【11月】
■自学の震災記録の取り組みについて報告@某図書館
■JAIRO Cloud 説明・講習会
規程類の整備も終わり、いよいよリポジトリ構築へ本格始動となり、JAIRO Cloud説明会へ。なかでもコンテン
■長期研修研究レポート最終提出
何をしてても研究レポートのことが心の片隅に引っかかる半年間でしたが、いろんな方に相談に乗っていただいたり、アンケートやインタビューにご協力いただいたりと、人の縁を感じる日々でした。学内の課題から意思決定プロセス、上層部のパワーバランスといったえぐいところまで体当たりで学べたのは本当に貴重な経験でしたし、調査活動や論文形式の文章を書くという経験は、大学職員としてはもちろんのこと、論文指導も含めた学修支援を考える図書館員としても、大きな大きな糧となったように思います。
■大学教育学会課題研究集会@同志社大学
内容はこちらのエントリにすこし書いています(まだ途中ですが
話題の同志社大学ラーニング・コモンズを見学できるかも、というのも、この研究集会への参加を決めた理由でした。
実に18年ぶりの京都に三日間滞在し、一日はフリーとしてid:kitoneさんに晩秋の京都をご案内いただき、最終日は龍谷大学深草図書館の見学へ。
■怒髪天ライブ(DOHATSUTEN三十路まえ "七色の虹をかける野郎ども"@Rensa)
THE BACK HORNとのツーマン。てかバクホンの曲知らない・・
濁声交響曲とNO MUSIC, NO LIFE. オトナノススメでの上原子さんがキレッキレでめっちゃかっこよかったです。
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【12月】
長期研修が終わって気が抜けつつも、学修支援環境整備のお仕事が本格化して、ひたすら資料を集め、読み、人の発表資料を作るという日々が続いていました。
リポジトリもテスト運用フェーズに入り、いよいよ混沌とする中で、私立大学図書館協会研究分科会の報告発表もあり、バタバタと時が過ぎていきました。
そのほかには下記に参加したりしました。
■明治大学和泉図書館見学
見学記はこちら
⇒明治大学和泉図書館見学レポート(前編)・(中編)・(後編)
■国立国会図書館「東日本大震災に関する書類・写真・動画の整理・保存講習会~被災支援活動の経験・ノウハウを活かすために~」
立教大学共生社会研究センターの平野泉先生による、アーキビストの視点による災害支援活動記録・資料保存のお話、特に「アーカイブは記憶という仕事を担うが、安心して忘れるための仕組みでもある」「災害資料アーカイブには当事者の「忘れたい気持ち」「忘れたくない気持ち」という相反した価値が存在する」という点が印象に残りました。
9月-11月の土・日・休日は殆どレポート執筆に費やしてきたので、プライベートを楽しもう強化月間とし、展示会を見に行ったり、読書をしたり、いろんなところに写真を撮りに行ったりと、それなりに楽しめたと思います。
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この一年を振り返ると、ご縁があってありがたいことに発表の機会をたくさんいただきました。6月から11月までは月イチペースで発表が入り、職場のみなさまに業務量の配慮をいただきながら(ありがとうございました!)レポート執筆と発表資料の準備に追われる日々を過ごしました。自分としてはここ数年にないほどたくさんの経験と学びを得て、様々な価値観に触れ成長することができたと感じています。お声がけいただいたみなさまのご期待に応えられなかったことは心苦しく、反省点も多々ありますが、こうして機会を与えてくださったこと、お支えいただいたことに心より感謝申し上げます。
一方で、日々の仕事の中で組織に貢献できているという実感が持てず、空しさを抱えていたようにも思います。こんなに機会をいただいたにも関わらず、何が足りなかったんだろうと改めて考えてみたところ、自分のことだけで必死すぎて、若手世代が主体的に活躍できる環境を作る、人を育てる意識がまるっと欠けていたのではないだろうかと思えてきました。自分ばかりが頑張るのではなく、「みんなが成長できる成果」を考えなくちゃいけない世代であることを忘れてはいけないのだと思います。
来年に向けての課題が見つかったところで。
おそらくこれからも迷走しつつ、いろんなひとに迷惑を掛けながら歩いていくことになると思いますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
皆様方もどうぞよいお年をお迎えください。
明治大学和泉図書館見学レポート(後編)
前エントリからさらに続きます(長くてすみません・・
*引き続き写真が多くなっています。
「サインへのこだわり」と「ホスピタリティ」について。
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■サインへのこだわり
図書館らしく、「紙」にこだわったサインが随所に見られます。
図書館のなかのひとにはおなじみ、日本十進分類表。
一見ふつうのサインのようですが、よーく見ると・・
本のかたちになってる!これは楽しい^^♪
デジタルサイネージも多用されていました。
貸出統計を流しているのも面白いです。
タッチパネルになってます。
横にちょろりと顔をのぞかせているめいじろうがかわいい。
カフェの店内では旧図書館の記憶と新図書館ができるまでの軌跡が映像で紹介されています。
写真はコンペの様子。
部屋の前にあるサインは「折った紙」をイメージ。かわいい!
フロアサインは数字を切り抜きっぽく。
フロアガイドは現在地点のものだけドッグイア的に折り込みをつけて。
凝ってる・・
こちらは書庫内のフロア表示。ここにも切り抜き数字!
葉っぱちゃん。
トイレサインもかわいい。(ピクトさん好きなので思わず反応してしまった)
掲示物のセンスが光っています。
図書館のソムリエかあ。すてきな表現。
書架の横の掲示スペース。ぱかっと取り外せば簡単に中身を交換できる。
小さめのデジタルサイネージには「本日の格言」。
この図書館を見学していて気付いたのは、直に壁に貼られた掲示物が殆どないということ。
そのせいか、館内はとてもすっきりした印象です。
掲示物はスタンド、書架の横部分にはめ込み、もしくは上の写真のように椅子の上にある小さなイーゼルに置かれています。
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■ホスピタリティ
ここで感じたのは職員・スタッフの方々のホスピタリティです。
サーチアシスト・カウンターでのサービスはもちろん、ゾーニングや展示、サインなど、利用者の個性に寄り添い、「お気に入りの場所」「居心地の良さ」「楽しい!」を見つけてもらうための様々な工夫が随所に見られ、また職員の方々が設計段階からコミットし作り上げられた図書館コンセプトにも「思い=ホスピタリティ」が込められていると感じました。たくさんの思いが伝わってくる、あたたかい図書館です。
ラーニング・コモンズなどの「学修支援の場」づくりは各大学で積極的に展開されていますが、癒しや楽しさ、ぬくもりを持った「居心地の良い空間」づくりに徹底的にこだわっている大学は実はそんなに多くないのでは、と思います。
■(余談)椅子について
館内にはかわいらしい椅子がたくさんありました。中にはひっそりとデザイナーズチェアが置かれていたり。
私は椅子が大好きなので、ここにも反応してしまいました。
これらの椅子が、空間を素敵に演出しています。
例えば前述のコレ↑、フィリップ・スタルクデザイン、KartellのPrince AHAのような気がする・・(さかさまに置いてある)
カラフルなクッションの間にさりげなく置かれた壺のようなスツールは、同じくフィリップ・スタルク、KartellのBoheme?
ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションにも選ばれている、柳宗理のバタフライスツール。
emeco社の111 NAVY CHAIRっぽい。
こちらは学生さんに大人気のリフレッシュチェア。
この日、2階のリフレッシュチェアは満席でした。
自宅に1脚ほしい・・
陽当たりのよい窓際にずらーっと。「疲れたときに心地よく休める場所」は、「長時間滞在型図書館」にとって重要なポイントかと思います。
明治大学和泉図書館見学レポート(中編)
さて、前エントリの続き、明治大学和泉図書館見学レポートです。ここからは写真多めです。
和泉図書館の大きな特徴は、何と言っても「音のゾーニング」と「サインへのこだわり」、「ホスピタリティ」ではないかと思います。
まずは、「音のゾーニング」について。
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■1階:Active Study Area
エントランスの前には、カフェとホールがあります。
床・天井・座席は天然木がふんだんに使われているので、ホールに入った瞬間木のいい香りに包まれました。半円形の座席は国際教養大学図書館の書架を思い出させます。
天井まで続く大きな窓からは太陽の光が降り注ぎ、窓の外には正門を入ってくる学生さんの姿が。外から一番見えやすい場所にホールを設置し、イベントの際には「ん?何やってるの?」と目を引く仕掛けになっています。
ここではビブリオバトルや講演会などが開催され、講演会ではホール隣のギャラリーで関連展示を行ったりもするのだそう。
カフェは「フォレスティコーヒー」(運営小田急レストランシステム)。こちらも採光がよく、とっても素敵な雰囲気です(パンケーキがめちゃくちゃ美味しそう
写真は店内の真ん中にあるテーブル。あえて「ぼっち席」にはせず、向かい合って話ができるレイアウトにしたのだとか。
営業は18:00まで、閉店後は店内の座席を開放しているとのこと。
エントランスを抜けると、開放的なフロアが広がります。床は明るいフローリング。
「Active Study Area」は貸出・返却カウンター、レファレンスカウンター、サーチアシストコーナー、レファレンスブックエリア、グループ学習用の部屋など、比較的「音が出ても大丈夫」なエリアになっています。
フローリングの床は、そのしるし。
カウンター周りはすっきりと整理されています。赤い椅子がとってもかわいい。
後方には事務室があり、半透明のガラスで仕切られており事務室からカウンターの様子が見えるようになっています。
グループ学習用の「情報リテラシー室」。ここではグループ学習だけではなく、授業やガイダンスも行われるとのこと。部屋の中にはPCロッカーも。
書架には地震による落下防止のための傾斜がついています。こういうのとっても大事。
落ち着いて学習できる閲覧席。ポップな色合いの椅子がとてもかわいい。
照明がふんわり明るいなあと思っていたら、見えないところ(書架のてっぺん)に照明があって上方向にやさしい光を放っていました。
電子版新聞。気になる記事はメール添付で自分宛に送ることも可能。
職員さんおすすめ本棚。テーマと担当した職員さんのプロフィールが書かれたポスターが一緒に掲示されていて、「顔が見える本棚」になっています。これいいなあ。(写真ぶれまくりですねすみません・・)
まるで絵画のような風景。
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■2階:Active Study Area
2階へ続く階段を上がると、天井の高い空間と書架が広がります。
ここも1階同様、閲覧席と仕切るかたちで動的空間が置かれていて、明るい雰囲気が漂っています。
閲覧フロアは1階よりも少し静かな印象で、奥に進むにつれ静かになっていきます。床はフローリングから明るい色調のじゅうたんへ。
ここには雑誌・新書/文庫が配架されているほか、ティーチングアシスタント(院生)によるの学習相談コーナー、コミュニケーションラウンジ、6つのグループ閲覧室と共同閲覧室があり、アクティブ・ラーニングに対応しています。
コミュニケーションラウンジ。広い!!
後述しますがかわいい椅子がたくさん置いてあって、くつろぐ学生さんの姿も多く見受けられました。ここは音を出してもよいのでフローリングになっていますね。
グループ閲覧室(グループ学習室)のひとつ。
パワーポイントをBIG PAD(電子黒板)に投映して、みんなで話し合いながら発表用スライドを作っているようです。
グループ閲覧室はレイアウト・収容人数の異なる部屋が揃っており、利用希望者は「オンライン予約システム(グループ閲覧室・研究者個室予約)」から予約します。
電卓専用室。電卓のタッチ音はPCのキーボード音とも違うので、利用者同士のトラブルの元にもなりやすく(経験あり)、部屋を分けるというのはナイスアイディアだと思います。
仕切りのついた閲覧席。フロアの一番奥にある静かなエリアです。まんなかにある円筒形のものは照明ですが、机によって形が異なっていて、空間のアクセントになっています。
凝ってるなあ・・
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■3階:Quiet Study Area
図書が配架されたフロアには、AVブースや閲覧席があります。ここはすべてのエリアにおいて静寂な環境がキープされていますが、PC利用は認められています。
2階と机のかたちがちがう・・
2階の閲覧席はアクリル製の衝立でしたが、より集中できるよう木製の衝立で個室っぽく。
窓際の個人閲覧席。
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■4階:Silent Study Area
図書が配架された、最も静かなエリア。研究者個室以外の閲覧席でのPC利用は不可となっており、徹底的に静寂にこだわった空間になっています。
閲覧席と書架はダークブラウンを基調とし、大人な雰囲気が漂います。
フロアが変わるごとに家具の色も変わっていくのが面白い。
天井が高く、とにかく静かです。閲覧席のつくりといい色合いといい、個人的にはかなり好きな感じ。自分がここの学生だったら、毎日このフロアに入り浸るだろうなあ・・
このフロアは、以前見学させていただいたことのある会員制ビジネス向けライブラリーBIZCOLI - Biz Communication Library(公益財団法人九州経済調査協会)に雰囲気が似ている気がします。
PCはNGですが、音の出ないタブレットはOK。
閲覧席もいろいろな形態があります。
卍型の閲覧席。ここまでくるともはや個室のよう。
テラスに面した一人席。仕切りなし。
反対側の窓際には仕切りつきの閲覧席。
研究者個室は教員・院生専用ですが、空いてるときは学部生の利用もOKとのこと。
予約はオンラインで。
4階から吹き抜け部分を見下ろしてみると、学習の合間にリフレッシュチェアでくつろぐ学生さんの姿が。居心地の良さをあらわす風景だなあと思いました。
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■見える積層集密書庫
圧巻なのは2階から4階まである積層集密書庫。
電動書庫は全部で6層、閲覧フロアから見えるつくりになっています。
あえて書庫を見せる、というアイディアは斬新だなあ。
ちなみに、ガラスに面している書架は写真サークルの写真展にも使われたことがあるそう。
各フロアが「音」を基準にゾーニングされていて、閲覧席も様々な形態のものが用意されている。まさに事務長の坂口さまが仰っていた「利用者の個性に寄り添い、館内にバリエーション豊富な場所を用意することで、誰もがお気に入りの場所を館内に見つけ、長時間滞在することができる」というコンセプト(前エントリ参照)が具現化されていると感じました。
「サインへのこだわり」、「ホスピタリティ」については次のエントリで・・