日々のきろく

図書館や高等教育をめぐる様々なできごとなどを記録します

大学における大規模災害時の各種対応記録

(【追記】2016/04/18:「情報インフラの復旧」を追加しました)

 

熊本県を中心とする広範囲な地震により被災された皆様方に、心よりお見舞い申し上げます。前震・本震のみならず、余震の回数と大きさに言葉を失くしてしまいます。

連日不安な日々をお過ごしではないかとお察しします。
早く収束しますよう、お祈りしています。

離れた場所で何もできずに無力感に襲われていましたが、いまできることは自分が知る範囲での情報をご提供することと思い、ここにきろくします。


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今回の地震では、数多くの大学が被災されています。
東海大学ではアパート倒壊で犠牲になられた学生さんも。。
各大学の状況はG.C.Wさんがこちらにまとめてくださっています。

app.m-cocolog.jp

 

東日本大震災発生時に大学での災害初期対応や大学図書館の復旧作業を経験しました。
その過程で痛感したのは、大規模災害時の大学における初動対応記録の少なさ(もしくは見つけにくさ)でした。

あれから5年。各地での震災アーカイブの活動も拡大し、資料類のデジタル化、web公開も積極的になされています。

蓄積された記録の中から、大学の初期対応現場で役立ちそうな資料やサイトを集めてみました。
まずは取り急ぎ。整理されていませんがご容赦ください。

 

■学校法人による災害対応報告書

阪神・淡路大震災関西学院報告書「激震―そのとき大学人は」(全文公開)

www.fukkou.net

地震発生時の教育機関における初期対応の経験など、詳しく記載されています。
学校法人傘下の中学・高等学校の対応についても纏められていますので、大学以外の教育関係者の皆様にとっても、参考になるのではと思います。

もともと日本経済評論社から販売されていたものでしたが、東日本大震災の直後にwebで全文公開してくださって、活用させていただきました。
過去の災害記録を被災現場ですぐに利活用できるかたちに整えてくださった好例だと思います。


■留学生サポート

「留学生担当者用 大規模災害時の留学生サポートマニュアル」(日本私立大学連盟  国際連携委員会)全文公開)

www.shidairen.or.jp

実務的で分かりやすく、初動の現場ですぐに活用できる内容です。

第1章 事前準備と災害発生時の対応 「大規模災害が発生したら」(p.5-6)は初動から生活再建期までフロー図化されており、「事前準備チェックリスト」(p7-10)は前述のフロー図におけるフェーズに基づいた内容で作られています。

この他にも、東日本大震災発生時の被災地の大学の動きについて、全体と国際交流担当部署に分類し、時系列に併記されています。また、弘前大学人文学部社会言語学研究室により作成された「やさしい日本語」で書かれた外国人向け各種情報について、カテゴリごとに時系列で纏められた資料(http://human.cc.hirosaki-u.ac.jp/kokugo/touhoku.htm)も紹介されています。

リンク先記事の下部にある掲載資料掲載URLも、国際系部門に限らず、大学関係者全般にとっても有用かと思われます。

 

 

■デジタルアーカイブ

1.  震災文庫(神戸大学附属図書館)
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/eqb/

図書館関係者のみなさまにはよく知られている震災文庫。
神戸大学附属図書館で収集した阪神・淡路大震災に関する資料のデジタルアーカイブです。

東日本大震災後、建物の安全確認のために暫く図書館に立ち入ることができず他部署の応援に回っていたときに、合間に震災文庫のデジタルアーカイブで図書館復旧作業に役立ちそうな文献を探したりしていました。
特に「阪神・淡路大震災被害と復旧その報告」(神戸商船大学附属図書館[編])は、復旧作業の段取りをイメージするのにとても役立ちました。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/book/8-524/

 

2.  学校法人東北学院 デジタルアーカイブ  東日本大震災の記録 Remembering 3.11(学校法人 東北学院
http://archive311.tohoku-gakuin.jp

学校法人東北学院が設置する大学・高等学校・中学校・幼稚園・関連団体(教職員組合生活協同組合)において作成・撮影された、東日本大震災に係る文書資料、写真資料のデジタルアーカイブ。

震災直後に作成・配布された資料や、災害対策本部資料、復旧作業記録・震災に関わる各種活動記録などが収録されています。

 

 

■大学における災害対策マニュアル(教職員向け)

このあたりは探せばまだヒットしそうな気がしますし、災害以外のリスクを含めた「危機管理マニュアル」として各大学HPの「教育情報の公開」で公開されているケースも多いので、まずは災害に特化したものを挙げておきます。
このあたりの公開状況は、学生向けのものも含めもう少し調べてみたいです。

学校法人郡山開成学園 震災対応マニュアル(教職員用)
【PDF】http://www.koriyama-kgc.ac.jp/wp-content/uploads/2014/05/5413a0fda56d947461ae9ac728b7c96a.pdf

日本福祉大学 大規模震災対応マニュアル
http://www.n-fukushi.ac.jp/bousai/manual.html

鶴見大学 大規模地震対応マニュアル(教職員用)
【PDF】http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/seminar/pdf/staff/jishin.pdf

 

 

■情報インフラの復旧

大学教育と情報私立大学情報教育協会)
2011年度 No.4 「特集 情報と災害対策」
http://www.juce.jp/LINK/journal/1202/mokuji.html

 

私立大学情報教育協会の機関誌における災害対策特集。大規模災害時のシステムをはじめとする学内の情報インフラの復旧の過程が記されています。
BCP(business continuity plan)策定のヒントとなる内容も含まれているのでは。


東日本大震災発生から授業再開までの戦い~東北学院大学

被災時の教育研究用コンピュータシステムの状況と大学の役割について~石巻専修大学

・電源不足とあるべきシステム基盤について~桜美林大学

阪神・淡路大震災甲南学園の対応~「常ニ備ヘヨ」創立者平生釟三郎の教訓を胸に~

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思いつくものをばーっと挙げてみました。
ほかにもあるよー、というものがあればご教示いただけますとありがたいです。


まだまだ強い余震が続いている様子、くれぐれもご無理はなさらず、安全第一でお過ごしください。