日々のきろく

図書館や高等教育をめぐる様々なできごとなどを記録します

明治大学和泉図書館見学レポート(中編)

さて、前エントリの続き、明治大学和泉図書館見学レポートです。ここからは写真多めです。

和泉図書館の大きな特徴は、何と言っても「音のゾーニング」と「サインへのこだわり」、「ホスピタリティ」ではないかと思います。

 

まずは、「音のゾーニング」について。

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1階:Active Study Area

エントランスの前には、カフェとホールがあります。

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床・天井・座席は天然木がふんだんに使われているので、ホールに入った瞬間木のいい香りに包まれました。半円形の座席は国際教養大学図書館書架を思い出させます。
天井まで続く大きな窓からは太陽の光が降り注ぎ、窓の外には正門を入ってくる学生さんの姿が。外から一番見えやすい場所にホールを設置し、イベントの際には「ん?何やってるの?」と目を引く仕掛けになっています。

ここではビブリオバトルや講演会などが開催され、講演会ではホール隣のギャラリーで関連展示を行ったりもするのだそう。


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カフェは「フォレスティコーヒー」(運営小田急レストランシステム)。こちらも採光がよく、とっても素敵な雰囲気です(パンケーキがめちゃくちゃ美味しそう
写真は店内の真ん中にあるテーブル。あえて「ぼっち席」にはせず、向かい合って話ができるレイアウトにしたのだとか。
営業は18:00まで、閉店後は店内の座席を開放しているとのこと。


エントランスを抜けると、開放的なフロアが広がります。床は明るいフローリング。
「Active Study Area」は貸出・返却カウンター、レファレンスカウンター、サーチアシストコーナー、レファレンスブックエリア、グループ学習用の部屋など、比較的「音が出ても大丈夫」なエリアになっています。

フローリングの床は、そのしるし。

 

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ウンター周りはすっきりと整理されています。赤い椅子がとってもかわいい。

後方には事務室があり、半透明のガラスで仕切られており事務室からカウンターの様子が見えるようになっています。

 

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 グループ学習用の「情報リテラシー室」。ここではグループ学習だけではなく、授業やガイダンスも行われるとのこと。部屋の中にはPCロッカーも。

 

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書架には地震による落下防止のための傾斜がついています。こういうのとっても大事。

 

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 落ち着いて学習できる閲覧席。ポップな色合いの椅子がとてもかわいい。

 

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照明がふんわり明るいなあと思っていたら、見えないところ(書架のてっぺん)に照明があって上方向にやさしい光を放っていました。

 

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電子版新聞。気になる記事はメール添付で自分宛に送ることも可能。

 

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職員さんおすすめ本棚。テーマと担当した職員さんのプロフィールが書かれたポスターが一緒に掲示されていて、「顔が見える本棚」になっています。これいいなあ。(写真ぶれまくりですねすみません・・)

 

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まるで絵画のような風景。

 

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2階:Active Study Area

2階へ続く階段を上がると、天井の高い空間と書架が広がります。

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ここも1階同様、閲覧席と仕切るかたちで動的空間が置かれていて、明るい雰囲気が漂っています。
閲覧フロアは1階よりも少し静かな印象で、奥に進むにつれ静かになっていきます。床はフローリングから明るい色調のじゅうたんへ。

ここには雑誌・新書/文庫が配架されているほか、ティーチングアシスタント(院生)によるの学習相談コーナー、コミュニケーションラウンジ、6つのグループ閲覧室と共同閲覧室があり、アクティブ・ラーニングに対応しています。

 

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コミュニケーションラウンジ。広い!!
後述しますがかわいい椅子がたくさん置いてあって、くつろぐ学生さんの姿も多く見受けられました。ここは音を出してもよいのでフローリングになっていますね。

 

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グループ閲覧室(グループ学習室)のひとつ。

パワーポイントをBIG PAD(電子黒板)に投映して、みんなで話し合いながら発表用スライドを作っているようです。

グループ閲覧室はレイアウト・収容人数の異なる部屋が揃っており、利用希望者は「オンライン予約システム(グループ閲覧室・研究者個室予約)」から予約します。

 

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電卓専用室。電卓のタッチ音はPCのキーボード音とも違うので、利用者同士のトラブルの元にもなりやすく(経験あり)、部屋を分けるというのはナイスアイディアだと思います。

 

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仕切りのついた閲覧席。フロアの一番奥にある静かなエリアです。まんなかにある円筒形のものは照明ですが、机によって形が異なっていて、空間のアクセントになっています。
凝ってるなあ・・

 

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3階:Quiet Study Area

図書が配架されたフロアには、AVブースや閲覧席があります。ここはすべてのエリアにおいて静寂な環境がキープされていますが、PC利用は認められています。

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2階と机のかたちがちがう・・

 

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2階の閲覧席はアクリル製の衝立でしたが、より集中できるよう木製の衝立で個室っぽく。

 

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 窓際の個人閲覧席。

 

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 ■4階:Silent Study Area

図書が配架された、最も静かなエリア。研究者個室以外の閲覧席でのPC利用は不可となっており、徹底的に静寂にこだわった空間になっています。

閲覧席と書架ダークブラウンを基調とし、大人な雰囲気が漂います。
フロアが変わるごとに家具の色も変わっていくのが面白い。
天井が高く、とにかく静かです。
閲覧席のつくりといい色合いといい、個人的にはかなり好きな感じ。自分がここの学生だったら、毎日このフロアに入り浸るだろうなあ・・


このフロアは、以前見学させていただいたことのある会員制ビジネス向けライブラリーBIZCOLI - Biz Communication Library(公益財団法人九州経済調査協会)に雰囲気が似ている気がします。

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PCはNGですが、音の出ないタブレットはOK。

 

閲覧席もいろいろな形態があります。

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卍型の閲覧席。ここまでくるともはや個室のよう。

 

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テラスに面した一人席。仕切りなし。

 

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反対側の窓際には仕切りつきの閲覧席。

 

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研究者個室は教員・院生専用ですが、空いてるときは学部生の利用もOKとのこと。
予約はオンラインで。

 

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4階から吹き抜け部分を見下ろしてみると、学習の合間にリフレッシュチェアでくつろぐ学生さんの姿が。居心地の良さをあらわす風景だなあと思いました。

 

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■見える積層集密書庫

圧巻なのは2階から4階まである積層集密書庫。
電動書庫は全部で6層、閲覧フロアから見えるつくりになっています。
あえて書庫を見せる、というアイディアは斬新だなあ。

ちなみに、ガラスに面している書架は写真サークルの写真展にも使われたことがあるそう。

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各フロアが「音」を基準にゾーニングされていて、閲覧席も様々な形態のものが用意されている。まさに事務長の坂口さまが仰っていた「利用者の個性に寄り添い、館内にバリエーション豊富な場所を用意することで、誰もがお気に入りの場所を館内に見つけ、長時間滞在することができる」というコンセプト(前エントリ参照)が具現化されていると感じました。

 

「サインへのこだわり」、「ホスピタリティ」については次のエントリで・・