日本版MOOC体験記 gacco「インタラクティブ・ティーチング」(1)MOOCの背景
「MOOC」ということば。
大学で働いていると頻繁に耳にするのですが、実のところは「大学の授業をオンラインで受講できるんだよね?」くらいのふんわりとした知識しかありませんでした。
機会があれば一度体験してみたいなーと思っていたところ、2014年に入り日本版MOOC「gacco」が公開され、おおうこれはチャンス!と思い早速受講してみました。
その体験記を、ほやほやなうちに記録しておきたいと思います。
そのまえに、MOOCの背景について少しだけ。
■オープンエデュケーション、OCW、MOOC
MOOC(Massive Open Online Course)は、2001年にマサチューセッツ工科大学がコンセプトを発表した、講義情報の無償公開の枠組みであるOCW(Open Course Ware)に代表されるオープンエデュケーションの流れを汲み、2012年頃からアメリカにおいて急激に拡大した、といわれています。また、2013年からは、営利団体やコンソーシアムが運営するMOOCプラットフォームCoursera、edXに東京大学・京都大学・大阪大学が参加するなど、MOOCは日本でも拡がりを見せました。*1
そして2014年にはNTTドコモとNTTナレッジ・スクウェアによる日本版MOOC「gacco」が公開され、いよいよ日本においても大学の学びのオープン化が進むことになりそうです。*6
■OCWとMOOCの違い
【OCW】
・利用登録不要
・大学で実際に提供された講義を配信
・構成要素:講義ノート・シラバス・課題やプロジェクト・定期試験の設問/解答など
・いつでも利用可能
・各大学のOCWサイトで公開
【MOOC】
・学習者は個人名を登録
・決められた開講期間内に講座提供者側の設定したスケジュールに合わせて学習
・課題・試験・レポート提出などに期限内で対応
・最終結果が判定基準を満たせば講座提供者から修了証が提供される
福原美三(2014) 「内外のMOOCの経緯と現状及び将来展望」『 大学時報』2014, 63(358), pp.32, 日本私立大学連盟
上記を見ても分かるとおり、MOOCはOCWのように「コンテンツの一方的な提供」という形態ではなく、提供者(教員)と受講者、双方向のやりとりが発生するという点で、実際の大学教育カリキュラムに近いものと言えると思います。
☆参考:日本におけるOCW実施例(国立・私立大学)
⇒「日本オープンコースウェア・コンソーシアム(JOCW)」メンバー一覧
#余談ですが、個人的に関西大学のOCW「教えと学びのショーケース」の構成が特徴的で面白いと思いました(名前もキャッチーでよいです)
メニューは大きく3つに分かれていて
1)「教えのショーケース」(教え方要約集・教育実践事例集)
2)「学びのショーケース」(学習コンテンツ)←一般的なOCWコンテンツ
3)「交流プラザ」(他大学でも利用可能なコンテンツ紹介・教育実践フォーラム)
1)と2)の間に関連がある場合は、相互リンクが張られているというのもユニークです。
gacco、講座の概要については、次のエントリで。
*1: CA1811 - 動向レビュー:MOOCの現状と図書館の役割 / 重田勝介
*2:東京大学とコーセラ(米国)が大規模公開オンライン講座(MOOC)配信に関する協定を締結 / 東京大学プレスリリース(2013年2月22日)
*3:東京大学がハーバード大学・MITと協力したMOOCの展開に向け、edX(米国)と大規模公開オンライン講座(MOOC)配信に関する協定を締結 / 東京大学プレスリリース(2014年2月18日)
*4:日本で最初にedXのコンソーシアムに参加しました / 京都大学プレスリリース(2013年5月21日)
*5:大阪大学、edX に参入します(MOOCとして大阪大学の教育コンテンツを全世界に配信!)/ 大阪大学プレスリリース(2014年3月6日)
*6:日本初の大規模公開オンライン講座(MOOC)サイト「gacco(ガッコ)」を開設 -本日2014年2月3日から受講生を募集- / 株式会社NTTドコモ/NTTナレッジ・スクウェア株式会社/一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会プレスリリース(2014年2月3日)