日々のきろく

図書館や高等教育をめぐる様々なできごとなどを記録します

オープンアクセス・オープンサイエンスの動向を網羅的に理解するための基礎的資料(めも)

 

夏休みに入ったらまとめようと思っていた2つの宿題のうちのひとつ。

 

リポジトリを担当して2年が経ちました。

本来であればそれなりにオープンアクセスや最近話題のオープンサイエンスに関する知識身につけているべきところ、全くできていない...

とは言え、兼務している仕事のウェイトも大きく、このあたり腰を据えてじっくりと情報収集することができずにいます(同様の悩みをお持ちのリポジトリ担当のかたも多いのでは。。)


そんななか、短い時間で網羅的にオープンアクセスやオープンサイエンスの動向を把握できそうな資料があれば…!と探していたところ、とても分かりやすくまとめていただいている資料をいくつか見つけたので、きろくしておきます。

 

1. 「学術情報のオープン化に関する資料」(PDF)(文部科学省 科学技術・学術審議会学術分科会 第8期学術情報委員会(第3回)(2015/06/24)参考資料)

 

オープンアクセス(以下「OA」)の基礎的事項(OA定義 / 直近に開催された国際会議における海外OA動向 / 科学技術基本計画 / 文科省内閣府の各種報告検討会や審議まとめに基づくOAの考え方 / JSPS、JST、NII、文科省のOAへの対応)、国内OA施策(JSPS(科研費研究成果公開促進費)/ JSTJ-STAGE・J-GLOBAL)/ NII(IRP)/ SPARC Japan)、国内リポジトリの状況(構築数 / JAIRO Cloud利用大学数 / コンテンツ種別)、DOI(JaLC)、著作権(国内学協会著作権ポリシー状況 / CCライセンスの解説)、英米助成機関のOAポリシー、オープンデータ(データ公開・管理の世界的動向 / 研究データの対象範囲、データジャーナル)

OA、オープンサイエンスに関する国内外の動向とカレントトピックスが網羅されていて、概略を掴むのに最適な資料でした。
各テーマについてスライド一枚程度でまとめられているので、より詳しい情報は他の資料に当たる必要がありますが、リポジトリ担当の方はもちろん、初任者の方や担当外の方にも理解しやすい内容では、と思います。

 # スライド21の「Creative Commonsが示す著作物の利用範囲」がとてもわかりやすいので、リポジトリ登録を希望する先生方へのCCライセンス説明に使わせていただいたことがあります。


学術情報委員会(第3回)その他配布資料はこちら↓

第8期学術情報委員会(第3回) 配付資料:文部科学省

 

 

2. 「オープン化に関する諸外国及び我が国の動向」(PDF)(内閣府 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会(第1回)(2014/12/09)資料5 補足)



資料5(国際的動向からみたオープンサイエンスに関する検討資料)に気を取られて見落としていたのですが、補足資料がむちゃくちゃ良資料だったので。


海外のOA/研究データ動向(欧米におけるOA、研究データ公開、OA/データ共有ポリシー策定の経緯、国内OAの動向(第4期科学技術基本計画)、科研費研究成果公開促進費J-STAGEの登録状況、国内リポジトリの概況とJAIRO Cloudの構築機関数など。国内動向は前出1の資料にも含まれています。

特にOA、研究データ公開、OA/データ共有ポリシーの国際動向の一覧性に思わず声が出てしまいました。普段からそれぞれのトピックを断片的に資料を目にしていても、点がたくさんできるばかりで全容を掴むことができずにいたのですが、特にスライド2「欧米におけるオープン化に対する動き」のように、OAから研究データ公開までの動きを、ファンディング機関・研究者・出版社と並べて表記されることでそれぞれの関係性が明確に見えてきます。

国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会(第1回)その他配布資料はこちら↓

www8.cao.go.jp

 

 

3. 「研究データ共有ポリシーに関する調査」(PDF)(科学技術振興機構 わが国におけるデータシェアリングのあり方に関する提言(2015年4月) 別添資料2)


前出2の資料と一部重複しますが、タイトル通り研究データ公開・管理に特化した内容となっており、重複箇所は最新の情報が反映されています(内閣府の資料では作成中であった米エネルギー省(DOE)のデータ共有ポリシーが加筆されていたり)

特に興味深かったのが、商業出版社・情報提供会社の研究データに対する動向(トムソン・ロイター、エルゼビア、CAS/ACS、NPG)と、図書館の研究データに対する動向(ドイツ技術情報図書館・パデュー大学図書館)。

ScienceDirect上の論文と各国のデータリポジトリとの双方向自動リンクしてるとか知らなかった…。

提言本文・関連資料はこちら

jipsti.jst.go.jp

 

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論文のオープンアクセスについてはある程度理解できていても、研究データの管理・公開についてはまだまだ分からないことばかり。

何をもって研究データと見なすのか?数値データ以外の、人文社会系の研究データは?大学が管理すべき研究データの種類や範囲は?研究データ管理に関する規程は?etc..

資料を読めば読むほど「分からないことだけは分かるぞ」という体たらくでしたが、まずはこの3つの資料を読み込んで基礎を理解するところから始めたいと思います。